
|
モンゴルセンターだより 2
山崎光男(人類愛善会事務局モンゴル担当) ノゴートイシェル(野菜スープ) |
|
ゲルの屋根で天日干ししていたチーズを、雨がきたので取り入れているところ。
|
今年3月、モンゴルに赴任してから一番の問題は食べ物であった。モンゴル料理のレストランに入ると、ボーズという肉饅頭やノゴートイ・シェルという野菜スープを食べることができる。ウドンと野菜の炒めものも日本人には食べやすい。私は野菜スープが好物で「ノゴート・イシェル」というモンゴル語を必死に覚えた。
外国語が全く通用しないので、外国人はもっぱらモンゴル語を覚えるしかない。これらの料理には必ず羊の肉が入っているので、1週間も食べ続けるといささか飽きてしまう。やがて、私は、一般庶民が買い物をする「ザハ」という市場に足を踏み入れることになった。このザハに通うことによって、初めてモンゴルの人々の生活、素顔や気質みたいなものに直接触れることができるようになった。
ザハには、庶民が日常必要とするあらゆる生活物資がそろっている。食品コーナーには、さすがに食肉や乳製品が多い。客の目の前で、羊や牛など大きな肉の固まりを骨から削ぎ落としていた。30人ほどの若い女性たちが一斉に大きな肉包丁を右手に巧みに処理しており、一瞬ゾッとしたものである。
やはり遊牧の国であった。これらの肉は、日本のように配合飼料から生産されたものではない。草原に自生する牧草から生産された食肉である。いわば、モンゴルの人々にとって、家畜とは、牧草を人間の食糧に変えるための『
変換器』であった。彼らにとって肉食は、日本人が魚を常食するのと同じことだと思った。
モンゴルでの仕事の第一歩は、まず異なる民族、文化、伝統、社会を理解することにあり、以上のように、生活の根底を支える、食生活を知ることから始まった。
バックナンバー