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世界連邦の実現が急務  人類愛善会が原動力となってアジア連合を

モンゴル国際集会基調講演・要旨

人類愛善会会長 島本邦彦

創立80年を迎えた今年、人類愛善会は「人類愛善会モンゴルセンター」を 同国の首都ウランバートル市に設立した。 その発会式に合わせ、「人類愛善会モンゴル国際集会」が「アジアの多様性と連合に向けて」 をテーマに、6月8日、同市のチンギスハンホテルを会場に開かれた。基調講演した島本邦彦会長は、今後の人類愛善会の活動について、 「世界連邦の土台となるアジア連合の実現に向け、私たち人類愛善会員がその原動力となろう」と力強く呼びかけた。

会長顔写真



アジアとは、およそユーラシア大陸からヨーロッパ諸国、ロシアを除いた広い地域を示し、その極めて多様な気候風土を背景に、さまざまな民族・人種が暮らし、多様な文化をはぐくみ、偉大な宗教・哲学を生んできました。  世界の3大宗教と言われるキリスト教、仏教、イスラムをはじめ、ヒンズー教、ユダヤ教、儒教、道教など、主要な宗教の大半が、アジアで生まれたと言っても過言ではありません。  その多様性ゆえに、アジアの内部では民族、宗教、文化の違いによる対立・抗争の歴史もありました。反面、異質なものへの寛容性も高く、異なった文化や価値が相互に影響し合い、新たな姿に発展させ、より豊かな文化を生んできました。  


精神的和合を基礎に

このような多様性の中で、本当に「アジア連合」を実現させることができるのか、日本の有識者の間でも議論が起こっており、中には、「それはとうてい不可能である」との意見を持つ人もあります。しかし、私はそれは可能だと思います。  ただし、経済・政治的な地域統合の前に、出口王仁三郎初代総裁が「アジアの精神的和合こそが、世界平和へのカギである」とお示しのように、アジアに生きる私たちの心や精神の和合、信頼関係の構築がなければ、真の「アジア連合」は生まれません。  私がアジア各国を訪れて常に感じましたのは、まさしく、その多様性であり、アジアの人々と接していると、何かしら心の安らぎや懐かしさ、身近さを感じることを不思議に思いました。  アジアの人々の心の中には、今も伝統的な信仰心が生き続け、初代総裁が「人類愛善」という言葉で表現された精神性がそれぞれの宗教にあるからこそ、同じアジア人として、親近感を覚えるのだとも思います。  私は体験的に、「人類愛善・万教同根」の精神こそが、アジアを1つに結ぶ共通の理念であり、哲学であると確信しております。  

初代総裁はモンゴル訪問の前年の大正12年(1923)、世界平和実現の大前提を次のように示されました。

『世界にあらゆる有形無形、この二つの大なる障壁を取り除かねばなりませぬ。有形的障害の最大なるものは対外的戦備(警察的武備は別)と国家的領土の閉鎖とであります。また無形の障壁の最大なるものとは、すなはち国民および人種間の敵愾心だと思ひます。また宗教団と宗教団との間の敵愾心だと思ひます。この世界的の有形の大障壁を取り除くためには、まづ無形の障壁から取り除いてかからねばならないと思ひます』  

多様性に満ちたアジアにおいて、その「無形の障壁」を取り除く上で、何よりも肝要なのは、お互いの違いを認めて尊敬し合う、相互理解と寛容の精神であります。  私たち人類愛善会員には、率先して「無形の障壁」を取り除く使命があります。そのためにも人類愛善運動による「精神的アジア連合」の建設こそが、「アジア連合」創設の土壌作りとして急務です。  また、人類愛善会は「有形の障壁」を取り除く活動として、戦後間もなくから「世界連邦運動」を推進してまいりましたが、今日の世界情勢を見るとき、以前にも増してこの運動が必要であり、真剣に取り組まなければならないと感じております。  


世界連邦実現に向け

世界連邦とは、軍備や独裁的な政治体制、あるいは全体主義などではなく、「世界法」の下に「世界政府」を置く、「民主的な法治体制」によって、軍備も撤廃し、世界の恒久平和と発展を実現させる運動であります。  アジア諸国は17世紀以降、西洋の植民地主義の犠牲となりました。また、共産主義革命の嵐を経験し、米ソ冷戦時代には両大国の後押しの間で、悲惨な内戦を経験した国々もありました。  第2次世界大戦に破れた日本は、アメリカによる広島・長崎への原爆投下を受け世界初の被爆国となりましたが、広島・長崎の想像を絶する惨禍は、核兵器による人類滅亡の可能性を、世界の人々に強く認識させました。そういう強い危機感の中で「世界連邦運動」は生まれました。  

大国支配の反動としてのテロ、それに対する報復の繰り返しが拡大する現在、世界はなお「われよし・つよいものがち」、すなわち「利己主義と弱肉強食」的な価値観に覆われ、無秩序な状態にあるように見えます。  今こそ、万民の上に等しく、愛、正義、自由、平等、繁栄を体現する世界体制としての、「世界連邦」の実現が急務であります。過去の歴史を通じ、また現在も、国際社会の矛盾を実感している、弱い立場の国々や人々にこそ、全く新しい未来、すなわち「世界連邦」を実現させる可能性と力があり、アジア諸国はその原動力となれるのだと思います。


創立の原点に返って

モンゴルは1992年、国連総会において、当時のオチルバド大統領が「一国非核の地位」を宣言され、翌年の総会で同宣言は採択されました。また、97年以来、カザフスタンなど中央アジア5カ国は、「中央アジア非核地帯」の実現に向けた作業を続けておられ、日本政府もこれに協力しています。  私は、そのような選択の上にこそ、真の世界平和が築かれていくのだと信じております。こうした国々の勇気と英知に満ちた行動に心から敬意を表したいと思います。  また、今日、人類が直面している危機は、その原因が多国間にわたっていることばかりです。戦争やテロ、貧困、環境破壊、領土問題、天然資源やエネルギーの公平な開発と管理など、世界連邦的世界秩序の中でしか、問題解決は不可能です。  さらに、これまで人類愛善会が取り組んでまいりました、言葉の障壁を取り除く、国際共通語・エスペラントの普及活動も、人類の円滑なコミュニケーションを可能にする上で大変重要だと思います。  

もし、このまま無秩序な国際社会の状態が続けば、人類と地球は早ければ20年後には限界を迎えるという、研究者達による客観的な予測を、私たちは真摯に受け止めなければなりませんが、自然と人間の関係を大切にし、多様な価値観を共存させてきたアジアの思想・哲学、感性は世界平和の実現にとって、ますます重要であると存じます。  将来の世界連邦を視野に、その土台となるアジア連合をぜひ実現させなければなりませんが、私たち人類愛善会が、その原動力となろうではありませんか。人類愛善会創立80周年、広島・長崎の原爆投下から60年という今年、私たちは、人類愛善会創立の原点に返り、活動にまい進しなくてはなりません。  どうか、今後も一層のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

国際集会

6月8日、ウランバートル市で開かれた人類愛善会モンゴル国際集会。基調講演する島本邦彦会長



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