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『主張』

改めて、脳死は人の死ではない

 臓器移植法の改正案を、今年の国会に提出しようとする動きがある。 それは事実上、一律に脳死を人の死と定め、脳死臓器移植の推進を図る内容だ。

 しかし、法改正以前にあらためて考えるべきことは、本当に「脳死は人の死」と言えるのか、 という根本的な問題である。

 1997年の同法施行以来、多くの人は脳死は人の死だと思い込んでいるのかもしれない。 だが、脳死についての解釈は、世界的に見ても常に一定ではなく、普遍的な死の基準には成りえていない。

  1985年に厚生省研究班(班長・竹内一夫杏林大学教授=当時)が発表した脳死判定基準を採用している 同法は、脳死状態を「脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止した」状態としている。

 もともと「脳死」は、脳の病態を医学的に定義するための概念だった。 それが、60年代、脳死状態の患者から新鮮な移植用臓器の確保が可能であることから、 新しい「死の概念」として別の出発をした。

 竹内教授の定義も、当初は「頭蓋骨の中のすべての部分が死んだ状態」であったが、 それでは臓器移植ができないとして、「全脳髄の不可逆的な機能の喪失」となり、その後、現在の定義となった。 つまり、『死んだ』から『喪失した』になり、さらに『停止』すればよしとするに至った。 そこには、脳死患者は早晩死に至る、という前提があった。

 ところがその後、脳死状態の患者を研究していくと、従来は1週間から10日で心停止すると思われたのが、 月単位、年単位で延命している症例が次々と発見された。

 昨年5月に日本で講演したアメリカUCLA(カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校)の アラン・シューモン教授によれば、過去30年間に報告された175例の脳死患者のうち、発症から心停止まで少なくとも 4週間経過したのが44例。2カ月以上が22例。半年以上が7例。1年以上が4例.。そのうち1例は、4歳で脳死状態となり、 報告当時、14年半を経過していた。最終的には、21年近くを経過して心停止。患者は大人の体に成長していた。

 その患者は、人工呼吸器を装着しているものの特別な治療は必要なく、自宅療養で生存が可能だった。 心臓は自力で拍動し、全身に血液を送り届けていた。こうした事実を前に近年、「脳死は人の死ではない」と考える 専門家が多く現れ出した。

 臓器移植法は「死体(脳死した者の身体を含む)」との文言を用いて、脳死が確定した者は死体であり、 臓器を摘出してよいとしている。しかし、「脳死は死でない」とするならば、脳死移植は合法的な殺人にほかならない。

 人類愛善会初代総裁出口王仁三郎は今から 年前、すでに死の定義を述べている。死とは心臓、肺臓の停止 である。脳死はそれに全く当たらない。脳死状態を含め、人が生死の境にある「蘇生限界点」「救命限界点」も「死」 ではない。脳死移植推進のために「生」を「死」としてはならない。



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