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リビア・トリポリで 第9回暫定世界議会
/世界の混乱を救う唯一の方法は地球憲法の制定


(写真下)リビアの首都トリポリで開かれた第9回暫定世界議会で。
前列右端にユージニ・アーマン事務局長。暫定世界議会の「暫定」という言葉は、将来、地球憲法が規定の批准国数や批准人口に達し、正式な世界議会の発足を見るまでの、準備段階の議会であるという意味で使われている。エスペラントを公式言語の一つに採用することも同議会で承認されている。この写真に姿は見えないが、人類愛善会スリランカ分会長のT・P・アメラシンゲ博士、WCPA事務総長のグレン・マーチン博士も参加している

photo  国際的な世界連邦運動団体の一つである「暫定世界議会(PWP=Provisional World Parliament)」の第9回議会が、4月11日から15日まで、アフリカ・リビアの首都トリポリで開かれた。

 PWPは1958年の発足以来、各国の国際法学者らによって「地球憲法」の制定作業を続け、同憲法の批准推進による「地球連邦(世界連邦)」の実現を目指している。77年に憲法草案を発表した後も、細部にわたる加筆・修正などの作業を続け、そのために数年に一度、同憲法の規定に沿って「議会」を招集している。

 PWPの運営組織であるWCPA(世界憲法議会協会)の会長は、人類愛善会スリランカ分会長のT・P・アメラシンゲ博士で、昨年2月には、WCPA事務総長のグレン・マーチン博士が人類愛善会総本部で講演。現在、ユージニ・アーマンPWP事務局長が昨年10月から1年間の予定で総本部スタッフとして勤務するなど、人類愛善会とPWP、WCPAのつながりは深い。

 今回の第9回PWP会議はトリポリのアル・カビールホテルを会場に開かれ、閉会式で「トリポリ宣言」を発表した。宣言は「戦争やテロ、貧富の差の拡大、人類の破滅すら招きかねない環境破壊の悪化など、現在の世界の混乱の原因は、各国が『主権』をたてに『国益』を追及して争っていることにある。それを救う唯一の方法は、地球憲法の批准による、地球連邦の実現しかない」とあらためて訴えた。

 開催ホスト国となったリビアの元首、カダフィ大佐はかつて、アラブ民族主義を掲げて欧米と激しく対立し、国際社会でも孤立した。

 しかし、最近はテロや大量破壊兵器との決別を宣言し、アメリカのテロ支援国家リストからも除外され、関係修復と国際社会への復帰も進んでいる。

 また、日本ではまだあまり知られていないが、リビアは2002年7月に発足したアフリカ連合(AU)の発足に強いリーダーシップを発揮してきた国だった。グレン・マーチン教授ほかPWPのメンバーは、AU設立以前からカダフィ大佐にも会い、テロによらない法に基づく平和国家や世界の体制作りを提言してきたという。

 リビアはカダフィ大佐による69年の革命後、王政から共和制に替わり、77年にイスラム的価値観を土台にした、人民主権、直接民主主義による「ジャマーヒーリヤ体制」が敷かれた。

 これまで、欧米側メディアを通した、独裁国家的なリビア像が私たちの記憶の中にはあるかもしれない。だが、この会議の運営のためにリビアに約一カ月滞在したアーマン事務局長によれば、「アメリカ人の私から見ても、リビアでは欧米の間接民主主義に比べ、真の意味で民主主義が一段と実現されていると感じた。産油国のリビアは経済的に豊かで、他の発展途上国のような貧しさもなく、カダフィ大佐は今も広く国民に慕われている」という。




知っておきたい「脳ドック」の危険な側面
/予防のための医療が、重度の障害を生む悲劇

『脳受難の時代』
/現代医学・技術により蹂躙される私たちの脳
山口研一郎・著 御茶の水書房・刊 (本体2400円+税)



著者の山口研一郎氏は脳神経外科医で、現在、奈良市あやめ池で「やまぐちクリニック」を開業。「現代医療を考える会」代表。著書に、「生命をもてあそぶ現代の医療」(社会評論社)、「脳ドックは安全か―予防的手術の現状」(小学館)など多数

photo  市民検診などでも身近になった「脳ドック」は、最新の画像診断装置などで脳の状態を詳しく調べ、脳梗塞やクモ膜下出血など、死や重度の障害をもたらす疾患を未然に防ぐための健康診断。脳の動脈の分岐部が異常に膨らんで瘤状になり破裂を引き起こす脳動脈瘤、脳腫瘍、血管奇形の有無などを調べる。

 しかし、その検査結果に基づいて受けた、疾患予防のための手術の失敗や後遺症で、健康だった人が重度の障害や死に至るケースもある。

 この本が特に問題にしているのが、未破裂の動脈瘤だ。動脈瘤の大きさや状態にもよるが、それが将来破裂する確率は数パーセントだという。それでも「手術しないと危ない」という医師の勧めに従って、健康な人が特殊な「クリッピング手術」を受け、それが元で高度脳障害を負うケースが後を断たないようだ。そこでは「手術しないと危ない」という説明が、妥当なものだったかが問題となっている。予防的手術の名目で、実は手術の目的が治療よりも、病院側の利益(診療報酬)や医師の手術件数の確保だったりする内情も、この本は指摘している。

 著者は脳死臓器移植反対運動の先頭にも立ってきた脳神経外科医。現在は脳クリニックを開業し、さまざまな理由で高次脳機能障害を抱える患者の相談や医療過誤被害者の救済に当たっている。その実際の医療活動を元に、脳ドック受診後の予防的手術が生んだ悲劇の事例を詳しく紹介。脳死移植問題にも触れ、私たちの脳と心の健康を脅かす現代社会の実情を描いている。

 長寿・高齢化社会を迎え、誰もが老後の健康を願う。働き盛りの世代も健康を維持したい。しかし、そのための医療の中に、かえって危険な側面もあることを、私たちは知っておく必要がある。

 


食卓が育む子供の心と体

「いただきます」「ごちそうさま」と言っていますか?
/五感で感じる食生活を

 正しい食生活が、子供の健やかな心と体を育てると、昔からいわれています。

 そのためには何を心掛ければよいのでしょうか。 「母親が食べ物と自然の生命の関係を子供に伝え、頭で考えるのではなく、心で感じて食べることが大切」と話す、 管理栄養士の衣笠悦子先生(鳥取市・写真下)にお聞きしました。

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  30年ほど前のことですが、学校給食で麦ご飯を出したところ、親御さんから「えっ!そんなものを…?」と言われたこともありました。今では、健康を意識して麦ご飯、五穀米などが見直され、「おふくろの味」や地域の伝統食も人気を呼んでいます。

 しかし現在の小・中学生の親世代は、欧米型の食生活が一般化された環境で育ち、本当の食に対する関心が薄い方もいるようです。家庭での主食は米よりパンが中心で、おかずは加工・冷凍食品に依存しています。共働きの場合、料理の手間を嫌い、外食やコンビニ弁当も当たり前となっていることもあるようです。

photo  母親が嫌いなものは食卓に上らず、その偏食が子供にまで影響します。子供は、やわらかくて食べやすい、ハンバーグやカレーなどが好きですから、ほっておけば高脂肪、高カロリーの食生活になります。また最近は、ダイエットのために食べ物を残して粗末にする子供も目立ちます。

 食べ物は、体を動かすエネルギーや成長のための栄養の源であるだけでなく、心が育つ源でもあります。「むかつく」、「きれる」子供が増える原因は、食事内容の悪さだけでなく、食事を取る環境の悪さにもあります。

 夜型の生活のため朝起きられず、朝食を取る時間がない。家族の食事時間帯がバラバラ。炭酸飲料・スナック菓子でお腹がいっぱいになるなど、普段の生活で心が乱れているから食事も乱れる。食生活が乱れるから、心が乱れるという具合に、悪循環に陥っている場合もあります。

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 最近、「食育」という言葉が聞かれます。食育は「知育、徳育、体育の基礎となるもの」とし、子供にいろいろな体験を通して食への関心を持たせる教育です。これによって子供の心と体が共に健やかに成長し、人格の形成に大きくつながります。結果的に、将来の社会全体に大変良い影響を与えると思います。

 とはいっても子供が自ら、食に対して関心を寄せ、食環境を整えることは、なかなか難しいことです。そこはやはり母親の理解や大人からの働き掛けが必要です。

 まず大切なのは、その日食卓に並んだ料理ができ上がるまでの過程を子供に伝えることです。料理するときの香りや音、食材の手触りや色の変化など、五感を刺激することで、食への興味や関心が高まり、感性も 養われます。

 同時に、ハシの持ち方、座る姿勢など食事マナーを徹底させて、「いただきます」「ごちそうさま」を言うように習慣付けることで、食材、料理を作った方への感謝の心が芽生えます。

 お手伝いをさせることも大切です。料理を任せて達成感を肌で感じさせ、母親と一緒に台所に立つことで、信頼関係を築くことができます。

 「今日の煮物の大根は、うちの畑で取れたのよ」「このトマトは夏野菜だから、今が旬でおいしいね」といった会話が、毎日の食卓で聞こえれば、子供たちは明るく健康的で、感情豊かに育っていきます。

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 ところで一昔前は、栄養を学術的にとらえ、頭で考えて食していました。例えば、食物繊維ならレンコン、ゴボウが豊富、カルシウム、ビタミンは○○で取って、毎日○gは摂取が必要…という具合です。

 これからの時代は、頭で考えて食べるのではなく、心で自然の摂理、動植物の生命を感じ、感謝の気持ちを持って「いただく」ことが大事だと思います。

 そのためにも家で子供に接する大人、特に母親が中心となって、他の生命を頂いて今の私たちがあることを、しっかりと言葉で伝えていくことが大事です。



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