第3回「ICBUW広島大会」レポート/超微粒子が体内から被爆させる 劣化ウラン弾の恐怖
世界連邦を実現し、すべての核廃絶を
(写真下)
広島の原爆では、強い放射線が体外から人体を被爆させたのに対し、劣化ウラン弾の場合は、人間が吸い込んだ放射性の微粒子が、体内で被爆させる)
劣化ウラン弾。それは『もう一つの核兵器』と呼ばれ、爆発後の粉じんが人体を内部から被爆させる。最近のイラク戦争でも使用された。
この新兵器の禁止を訴える国際組織「ICBUW(ウラン兵器禁止を求める国際連合)」の第3回国際大会が、8月3日から6日まで広島市で開催された。
被害者や研究者の発表は、この兵器の恐ろしさをまざまざと伝え、世界連邦の実現なしに、核の廃絶と真の平和実現もありえないことをあらためて感じさせた。
(人類愛善会事務局 山崎光男)
劣化ウラン弾は、核兵器製造や原子力発電に必要な『ウラン濃縮』の過程で廃棄物となる、放射性のウラン238を主成分とする重金属(劣化ウラン)を弾頭に使用。
貫通力・破壊力を飛躍的に高めた兵器だ。主に対戦車用兵器として1991年の湾岸戦争で初めて米英軍によって大量に使用され、ユーゴ紛争やアフガニスタン侵攻および、
2003年のイラク攻撃でも大量に使われた。地下施設を破壊する大型爆弾「バンカーバスター」などにも使用される。
最大の問題は、爆発と同時に10万分の1〜200万分の1ミリという微粒子になった放射性・化学毒性を持つ重金属物質が飛散することだ。
それを体内に吸入すれば、排出は不可能で、遺伝子を破壊する放射線α(アルファ)線が体内から被爆させる。被爆は生涯続く。
α線の到達距離は短く、体外からの影響力が小さいとして、米英は「放射能兵器には当たらない」と安全性を強調。日本政府もその見解を踏襲して、サマーワに派遣された自衛隊の被爆検査の必要はないとしている。
しかし、イラク国土は350トンの劣化ウラン弾に汚染されたままで、その30〜70%が微粒子となり、砂嵐と共に全土に拡散したといわれる。
そして、劣化ウラン弾の影響と見られる症状が、現地住民に現れている。
大会には、劣化ウラン弾の非人道性を世界に叫び続けている、イラク・バスラ大学のアル・アリ教授(腫瘍学)が参加。
「バスラ市内の病院は、白血病やがんに冒された子供たちであふれ、12才の少女でも、乳がんに冒されている」と悲惨な実態を訴えた。
染色体などを破壊
大会には世界各地から被害者、科学者、反対活動家、ジャーナリスト、法律家など40人が集まり、市民を対象に様々なシンポジウム、ワークショップを開いた。
電子顕微鏡などを用いる、ナノ病理学の世界的第一人者であるイタリアのアントニエッタ・M・ガッティ博士は、ウラン238を肺に吸入した場合、
人体がどのような影響を受けるのかを、スライド映像を映して詳細に報告。「45億年を半減期とする強力な放射能が、染色体などを破壊し続ける」と述べた。
劣化ウランを含む兵器は、国際人道法や人権法の規定に反し、戦時法であるジュネーブ条約やハーグ陸戦規定にも違反している。また、国際刑事裁判所規定の「人道に対する罪」にも該当している。
しかし問題は、これらの条約や規定には拘束力がなく、あるいはすべての国が加入しているわけではないことだ。
今日の世界は国連憲章をはじめさまざまな国際条約が存在するが、拘束力のある国際法は何一つ存在していないといわれている。国際刑事裁判所も多くの国々によって締約加盟されたが、米国や日本はいまだに参加していない。
私たちの住む地球には、それぞれの国家には法が存在するが、地球全体を包括する地球法や世界法というものは存在していない。ある種の無法状態と言ってもよい。
少女の胸にガンが
大会場で、非常に感銘深い詩集『ぼくは小さな灰になって…。あなたは劣化ウランを知っていますか?』
(御庄博実/石川逸子・著、西田書店)を下さったのは、同書店の日高徳迪氏で、大本・人類愛善会についてよくご存知だった。
著者の御庄博美氏は広島共立病院名誉院長で詩人。劣化ウラン弾の現実を世に訴えておられる。劣化ウランに被爆した少女の悲劇を描いた、御庄氏の詩の一節を紹介させていただきたい。
「わたしの胸のやわらかいふくらみに、いつの頃からか冷たいひびが入り、ひびは日ごとに深くなり、ひびは日ごとに固くなり…中略…わたしの胸のいたみ。ある日、癌だといわれたの、その言葉が何であるかをわたしは知らない。わたしはいつか死ぬのだと、かあさんが泣く…」。
かつて、人類愛善会創立者の出口王仁三郎師は「世界は未だ真の文明の域に達していない。様々な世界的諸制度が確立されるまでは、人類は何度も戦争と流血の惨事を繰り返すだろう」と指摘された。
国連創設以来、超大国アメリカを含め世界の大国は、それぞれの国益を最優先とし、国家の利己主義的行動を当然の正義と誤解して、国連の機能をまひさせてきた。
一日も早く、戦争や紛争の犠牲となりやすい一般市民や弱者の人権を確保するため、人類全体の福祉・安全・公益と正義の増進に責任を持つ、地球的機関の実現を急がなくてはならない。
特に、ICBUWなど世界のNGO団体とも協力提携し、非政治的な人類普遍の倫理道徳・人権・正義などに基づき、ウラニウム兵器のモラトリアム(一時停止)や禁止勧告を、各国指導者に行える現実的な体制作りが必要なことを、この大会で痛感した。
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海外20カ国から科学者、医師、活動家、帰還兵など40人、劣化ウラン弾問題に取り組む日本のNGOなどから約200人が参加した
(写真下)
コソボ紛争に従軍し、劣化ウランに被爆したことが原因の悪性リンパ腫で死亡したとみられるイタリア人兵士。1991年の湾岸戦争の帰還アメリカ兵にもガンや白血病など、
放射能被爆が原因と見られる病気が多発。『湾岸戦争症候群』と呼ばれ、劣化ウラン弾の影響が疑われている
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おなかが異常に膨れた赤ちゃんを抱く母親。報告では、悲惨な病状の子供たちの様子が映し出されたが、正視に耐えられないものだった。
湾岸戦争で米英軍が使用した劣化ウラン弾は(96万発/300トン)で、その放射線量は、広島型原発の1万7千倍。2003年のイラク戦争では、それを超える500トンが使用されたという
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