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日宗連「脳死は人の死ではない」

衆議院厚労委の場でも主張

移植法改訂案審議 昨年は見送り

 脳死臓器移植を推進するために、現行の法規制を大幅に緩和しようという、臓器移植法の改正案審議は、昨年12月19日に閉会した臨時国会での審議は見送られた。

 しかし、改正法案審議の予備段階の作業は行われ、同月13日には、衆議院厚生労働委員会が「臓器移植問題」に関する、各界からの参考人を招致。推進・反対双方の立場からの意見を聞いた。

 日本の主な宗教教団が加盟する日本宗教連盟(理事長・山北宣久日本キリスト教連合会顧問、略称・日宗連)からも、佐藤丈史事務局長(日本キリスト教連合会常任委員)が代表として招致され、意見陳述した。臓器移植法の制定や改訂の段階で、国会で宗教界からの意見が聴取されたことは今回が初めて。その意味では、今回の厚生労働委員会は歴史的なものとなった。

 日宗連は昨年11月16日、推進側が用意している2つの改正案の内容に反対する旨の意見書をまとめ、衆議院厚生労働委員会に提出した。意見書は「未だに脳死を人の死とする国民的合意は得られていない。多数決による拙速審議を避け、宗教界の意見も含め、改めて社会的に議論すべき」としていた。

 佐藤事務局長は、今回の参考人招致の場でも、日本の宗教界の一致した意見として「脳死は人の死ではない」と主張。「人の『死』とは、肉体と霊魂が分離することであり、霊魂が肉体を離れるときは、人が息を引き取るとき」と述べた上で、臓器移植法改訂に反対する意見を具体的に述べた。

 臓器移植法の改正案については、昨年の臨時国会の開会当初から、与党議員の多くが審議入りと可決・成立をめざしていた。しかし、10月以降に発覚した愛媛県宇和島市で起きた、臓器売買・病気腎移植事件や、日宗連からの反対声明があったことなどを背景に、審議入りは時期尚早とみて断念したものと思われる。

 しかし、今年の通常国会で、再び審議入りが図られる可能性は高く、予断を許さない。




新・金田案も提出の見通し

脳死移植の規制をさらに厳しく

 現在用意されている有力な改訂法案は2つ。「脳死を一律に人の死とし、家族の同意だけで臓器提供を可能にする」案と、「提供可能年齢を15歳以上から12歳以上に引き下げる」案だ。 共に脳死臓器移植推進を目的に、10年前に施行された臓器移植法の規制を、大幅に緩和する内容だ。

 これに対し、現行法をさらに厳しくし、脳死臓器移植の安易な実施に歯止めをかける新たな改訂案がまとめられ、改正案審議が現実化した場合、先の2案に対抗する形で提出される運びとなった。

 この案は、1997年の臓器移植法審議に際し、脳死を一律に人の死としない法案を提出した、金田誠一議員(衆議院)らが作成。「脳死」の定義を「脳幹を含む脳全体のすべての機能が不可逆的に喪失すること」に改め、 脳死判定基準に「脳血流及び脳代謝の途絶」を追加して、脳死の定義を適正化。また、ドナーに対する救命治療の完遂を確保するために3つの条件を設け、それをすべて満たさないと脳死判定を開始できないこととした。

 また、97年の臓器移植法制定時には法規制の対象外となっていた、皮膚などの人体組織の移植、生体間・親族間の臓器移植に関する規制や定義を明らかにした。

 さらに、臓器移植を行える医療機関の基準の設定、臓器移植に対する検証制度の徹底と結果の公表などを盛り込んだ。そして、子供の臓器移植については、虐待死した子供の扱いや、脳死判定基準の設定なども含め、さらに検討することを求めた。

 ドナーへの人権侵害などの問題を起こしながら、脳死 状態からの臓器提供は50例を超えた。脳死移植への規制強化を求める新・金田案への期待が高まっている。



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