|
『主張』 理想を掲げて現実の向上を /憲法改正と日本の進路 |
先月、日本国憲法は施行 周年を迎え、改憲問題がいよいよ現実のこととして動き出した。
その最大の焦点は戦争放棄と戦力の不保持などを定めた第9条の扱いにある。
5月には憲法改正の手続きなどを定めた国民投票法案が、課題を残しながらも成立した。
3年の経過期間の後、早ければ2011年秋ごろには、憲法改正案が国民投票にかけられることになるという。
憲法は、国家の理念や統治機構の基本や運営方法などを定めた、最高法規であり、
その改正の如何によって、国民の未来も大きく変わることになる。
もとより、憲法改正は全く許されないというものではないが、
法治国家の根幹を担う最高法規であるだけに、その改正には慎重を要することは言うまでもない。
国民主権・人権尊重・平和主義を主要な柱とする日本国憲法は戦後間もなく、
ほぼ進駐軍(アメリカ)の草案通りに成立した。これに代わる自主憲法を制定すべきなどの声は、当時からあった。
しかし、国内外に多大な惨禍をもたらし、
広島・長崎への原爆投下という結末で終えた第2次世界大戦の経験から、
現憲法の平和理念は、広く国民に支持されてきた。
一方で、戦力である自衛隊を保持している現実との矛盾。
ソ連崩壊後の多極化した国際情勢、北朝鮮問題や国際テロの脅威、
世界第2位にまで成長した日本の経済力など、
現憲法制定時とは全く変わった状況下で、私たちは生きるようになった。
ここで考えておかなければならないことは、憲法が先か、現実が先かという問題だ。
現実を優先し、いたずらに憲法をこれに合わせていけば、国家としての目標や理念は失われる。
基本的には、憲法に定めた理念の実現に最大限の努力を払うことが、国政を担う人々の責務である。
安易な妥協は許されない。
人類愛善会は「一つの神・一つの世界・一つの国際共通語」を世界平和実現の理念とし、
諸宗教間の協力、世界連邦運動、エスペラント運動を 年余り にわたり推進してきた。
人類が、お互いの命を真に尊び、軍備不要の共通の法治体系(世界連邦)の中で暮らし、
固有の言語と共に、エスペラントという共通語を持つ。そういう世界の枠組みこそが、
多様な文化や価値観を生かし、人類が共存できる唯一の道である。現実に迎合するのではなく、
その理想実現こそを目指さなければならない。
アメリカでは5月1日、世論の高まりを受け、
来年3月末までにイラクから米軍を撤退させる法案が上下両院で可決。
しかし、ブッシュ大統領は拒否権を発動した。イラク戦争は泥沼化している。
武力で紛争やテロを無くせないことは、今や万民の目に明らかだ。
一方で、EU(欧州連合)やAU(アフリカ連合)のような、軍事力ではなく、
地域連合の強化で各国の平和共存と発展をめざすあり方や、
国際刑事裁判所(ICC)の発足が、新たな歴史を開きつつある。
いま、保守・革新の立場を超えて日本と世界の未来を見据えた、
新しい平和ビジョンの構築が必要だ。理想をどう憲法に反映し、
国民・政府がその実現に努力するのか、一人ひとりが考えなければならない。
「理想を見つつ現実をはなれず、しかも現実を一歩ずつ向上させねばならぬ」
(出口日出麿人類愛善会三代副総裁)。
歴史を退行させることなく、理想実現に向けてまい進したい。
|
前へ
次へ
バックナンバー |