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『主張』 もう一度「脳死臨調」を /臓器移植法の改定問題 |
かけがえのない「生命」があまりにも軽い。
9年連続3万人超の自殺者。親殺しや子殺し。
ここ最近、かつてなかった凶悪犯罪が連日のように報道されている。
その一方で、脳死患者からの臓器提供が「生命」を救う美談のように喧伝されている。
しかし本当に美談だろうか。移植医療がほかの医療と違う点は、
患者本人以外の他人の臓器を使うことだ。
さらにそれが脳死移植となると、「他人の生命」を犠牲にしなければ成り立たない。
"脳死"は脳の機能不全ではあっても、決して"人そのものの死"ではないからだ。
脳死移植をすれば、一人の「生命」が助かるのだからいいじゃないか、ですまされる問題ではない。
臓器移植法が施行されて10年。
昨年8月国会に上程された一つの改定法案の審議入りをめぐって、
現在、推進派はロビー活動を活発化している。数の論理で強行採決しようとの動きもある。
ことは「生命」にかかわる問題である。
十分な審議のないまま改定されるようなことがあれば、
その禍根は「宙に浮いた5千万件年金」問題にまさるともおとらない。
その改定法案の中身は「脳死を一律に人の死」とするもの。
仮に改定された場合、脳死を宣告された患者は例外なく「死体」とみなされ、
本人が臓器提供を拒否する意思を示していない限り、家族の同意だけで、
麻酔をかけられて臓器を摘出される。
ここであえて「麻酔をかけられて」としたのは、この現実を多くの人が知らされていないからだ。
「脳死患者からの臓器摘出時に執刀すると脈拍や血圧が急上昇し、のたうち回る場合もある。
そのため麻酔や筋弛緩剤の投与が移植医学の常識になっている」
(「毎日新聞」平成19年1月21日、「問題多い 年目の現場」小松美彦東京海洋大学教授)のである。
もし自分の親や子が「麻酔をかけられて」生命が絶たれると知ったとき、
いったいどれだけの人が脳死移植に同意するだろうか。
明るい兆しは、ここにきて宗教宗派を越え、
日本の宗教界から「脳死は人の死ではない」との声が上がってきたことである。
財団法人・日本宗教連盟(日宗連)は3月29日、
山北宣久理事長名による「臓器移植と生命倫理に関する調査研究の専門機関設置に関する要望書」を、
安倍晋三内閣総理大臣、柳沢伯夫厚生労働大臣宛に提出した。
日宗連は昭和 年に創立された日本における諸宗教団体の連合組織で、
現在、教派神道連合会、全日本仏教会、日本キリスト教連合会、
神社本庁、新日本宗教団体連合会の5つの協賛団体で構成。
日本の宗教法人の90%以上が加入している。その「要望書」は次のように訴えている。
「私たちは、科学の進歩を否定するものではありません。
しかし、医療技術の発達が可能とした脳死・臓器移植及び生体間移植という治療法は、
他者の臓器の摘出を前提としている限り、普遍的な医療にはなり難く、
緊急避難的な治療法、過渡的な治療法と言わざるを得ない」と述べ、
年前の脳死臨調(臨時脳死及び臓器移植調査会)のような専門の調査機関設置を国に求めている。
人の生命が医学的、科学的のみにはとらえられないことをよく知っているのは、
長く人の生死に深く関わってきた宗教者である。「生命軽視」を助長する臓器移植法「改悪」を阻止したい。
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