誰にでもわかるパレスチナ問題(その26)
ガザ撤退
交渉カードは手に入れたが
40年の占領
国の将来については人の数だけ意見が分かれるといわれます。とりわけ2人寄れば、
3つの政党ができるというイスラエル人の特質から考えても、イスラエルの入植政策
には様々な意見があります。神がイスラエル民族に約束された土地であり、それを手
放すことは神の御意志に反するのであると考える人達もいます。
ガザ撤退の本当の理由
2004年10月、イスラエル議会はシャロン首相提唱の『ガザ撤退法』を採択。
その10ヶ月後2005年8月15日に退去命令が出され、8月23日には入植者退
去が成功裡に完了した事を歓迎する町村外務大臣談話が日本からも発表されました。
NPO法人大本イスラエル・パレスチナ平和研究所
主任研究員 矢野裕巳
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元来イスラエル国家は1948年の独立以前から、
つまり19世紀の終わりから現在のイスラエルの地にユダヤ人が入植する事から始まりました。
ここで考える入植地とは、1967年第三次中東戦争でイスラエルが占領したヨルダ
ン川西岸とガザ地区に建設されたユダヤ人居住地域です。占領地のユダヤ化を狙って、
パレスチナ人地域を包囲する形で作られています。ただ、将来パレスチナ国家となる
であろうこれらの『占領地』は当然イスラエルでは『管理地』という名称で呼ばれて
います。
2006年3月の総選挙で、カディマが第1党になるまで、イスラエルは労働党とリ
クード党が2大政党として争ってきました。労働党は平和をすすめ、リクード党は和
平促進に熱心ではないとの一般的な認識がありましたが入植地は労働党の政権時に始
ります。イスラエルは『防衛的観点から入植が始った』と主張。パレスチナ側は『最
終的に国境が決まる時にイスラエルに有利な既成事実づくりである』と考えています。
西岸には、約130ケ所の入植地に20万人の入植者が住んでいます。そして2005年
夏の撤退前のガザにはおよそ17ケ所の入植地に7千人のイスラエル人入植者が
住んでおり、その10km×40kmの土地に100万人以上のパレスチナ人が住んでい
たのでした。
1967年の第3次中東戦争で、イスラエルは西岸、ガザに加え、シナイ半島、ゴラ
ン高原を占領しました。
周囲に自国の存在を認めない国々に囲まれたイスラエルが手にした交渉カードでした。
シナイ半島返還によりエジプトと国交樹立を成立させた事を除けば、占領地返還によ
り近隣諸国と共存という交渉もうまく進んでいません。占領が40年も続くとは当時
のイスラエル指導者は決して想像していなかったでしょう。
ただ一般に誤解され
ているほど、このような宗教的シオニストの数は多くありません。大半の人々は占領
地を返し、安全を確保したいと思っているのです。単純に言い切る事は困難ですがあ
えて、イスラエルの占領がこのように長く続いたのは、パレスチナ側にイスラエルと
命がけて交渉し決断出来る指導者が出なかったからで、長くパレスチナ人を代表した
アラファトにはそのチャンスは皆無ではなかったと私は理解しています。
6日戦争(第三次中東戦争)で得た占領地は手離さないというリクード党の信条に反
する行動を決定したシャロン首相は、平和を求める政治家となったのでしょうか?
首相に座れば、今まで見えなかったものが見えるようになったというシャロン首相の
言葉もよく知られています。現実には平均して入植1家族を守るのに10人から20
人の兵士を配置しなければならず、防衛コストについていけない現実がありました。
一方的ガザ撤退はシャロン首相の平和への転向ではないと思います。交渉相手がいな
いなか、入植者の安全を守るための経済的負担がますます増え続ける事が本当の理由
ではないでしょうか。
和平実現の為に痛みを伴う譲歩を決断したというイスラエル政府の見解は、ガザ撤退
の真意を意図したものではないと思います。
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