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誰にでもわかるパレスチナ問題(その28) 

NPO法人大本イスラエル・パレスチナ平和研究所
主任研究員 矢野裕巳

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圧力と譲歩

パレスチナ人はなぜハマスを選択したか

 前回でも述べたように、2006年1月25日のパレスチナ評議会選挙で 総議席132に対し過半数の76議席をハマスが獲得しました。現在のアッパス自治政府議長 の支持母体であり、長年パレスチナを率いてきたファタハは43議席の獲得にとどま りました。


 武装闘争を通じてパレスチナ独立を勝ち取る方針を鮮明に掲げ、自爆テロによるイス ラエル攻撃に深く関与してきたイスラム原理主義組織ハマスをパレスチナ住民は選択 したのです。各国の世論調査によると、パレスチナ住民の過半数がイスラエルとの和 平進展を望んでいるとの結果が出ています。


photo (写真上:2005年4月9日筆者撮影) パレスチナ自治区ラマラ<ヨルダン川西岸地域の中心地>にある伝統文化会館/ ここで、パレスチナの子供たちが伝統舞踊を継承しようと稽古に励んでいる。 (写真下:2005年4月9日筆者撮影)

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その同じ人達がハマスを投票したのです。 その矛盾について考えてみましょう。

1、ハマスは武装集団ですが、単なるテロ集団ではなく、ガザ地区最大の慈善、福祉 組織でもあります。イスラムの相互扶助の精神にのっとり貧困層のための病院や 学校を経営しています。ハマスは基本的にイスラム慈善団体で、地域住民には有 難い存在なのです。

2、貧しい人達の医療やさまざまな教育の援助をしていること。これがパレスチナ の人達の支持を得る理由で、単なる強硬派ではないのです。

3、長年パレスチナ暫定政府の主流派であったファタハは貧困層を解消する具体的政 策を行わなかった。

4、ファタハが中心の自治政府内の腐敗。日本を含む国際的支援の無駄遣いや着服、 縁故主義などがはびこり、一般の住民の暮らしの改善は見られなかった。

5、現状の政治体制に不満を募らせていたパレスチナ人に対して『腐敗撲滅』を掲げ たハマスが選挙に圧勝した。

 以上ファタハに対する反感がハマスへの支持として選挙結果に現われました。しかし ハマスに投票した多くのパレスチナ人はハマスのテロ行為を支持したわけではないの です。

本当の支持理由がどうであれ、正当な選挙でパレスチナの人達はハマスを選択したの です。ハマスの掲げる対イスラエル政策

1、イスラエルの存在を認めない

2、武力闘争によりイスラエル占領と戦う

3、いままでの双方で達成した和解と妥協の道、二国家共存案を受け入れない


 これらの政策を変えない限り、ハマス政権は国際社会からの援助を受ける事ができず、 パレスチナ人の生活は悲惨な状態に落ち入る事になるのは目にみえています。
 現実の問題として物の流通を考えてもイスラエルを経由してパレスチナに届くようになっ ています。

 そのような状況下でイスラエルを国家として認めないという主張を続ける 事ができるとは思いません。ハマスが現実路線への転換を示すよう国際社会が圧力を かける事は必要でしょう。

 そして同時にイスラエルにも長期的展望にたった対パレス チナ譲歩を引き出す努力が必要だと思います。



  photo (写真)伝統文化会館の壁画    



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