誰にでもわかるパレスチナ問題(その43)
”イスラエル軍によるシリア空爆”
NPO法人大本イスラエル・パレスチナ平和研究所
主任研究員 矢野裕巳
(その1)
(その2)
(その3)
(その4)
(その5)
(その6)
(その7)
(その8)
(その9)
(その10)
(その11)
(その12)
(その13)
(その14)
(その15)
(その16)
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(その18)
(その19)
(その20)
(その21)
(その22)
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(その57)
(その58)
(その59)
(その60)
(その61)
(その62)
(その63)
(その64)
(その65)
(写真下)カシオン山から見るダマスカス市街
日本のメディア
2007年9月6日、イスラエル軍がトルコ国境に近いシリア北部の
核開発関連施設を空爆したとのニュースが世界のメディアに大きく流 れました。
メディアに流れたといっても日本ではそれほど大きな記事では ありませんでした。
空爆は北朝鮮の協力による核開発の阻止が狙いで あったという見方が当初有力でした。
この事から考えると日本にとっ ても、もっと重大な報道であってもよいはずなのですが?
シリアの反応
9月7日、シリア報道官はイスラエル空軍機が5日夜から6日朝にかけて、
シリア北部で領空を侵犯したと発表。
シャラ副大統領はイスラ エルは 和平への道を望まず、緊張を高めようとしていると非難。
ジャアファリ国 連大使もイスラエルは和平交渉を阻止しようとしていると述べています。
またイスラエルの攻撃目標がイランからのレバノン武装勢力向けの武器保管場所だったという
米国政府筋の発言に、それはナンセンスであり事実 無根で あると14日に発表しました。
周辺国イラン、トルコ、エジプト、レ バノンは それぞれ同様に非難声明を出しました。
アラブ連盟のムーサ事務局長 は「今回の イスラエルによる領空侵犯は、
地域の利益及び中東和平への努力にマ イナスの 影響を与えるものであり、
国際社会が真剣に検討する事を求める」と コメントしています。
イスラエルの反応
イスラエル政府は当初、一切の事実関係への言及を拒否し、
政府や軍> には箝口令を、メディアには厳しい報道管制を実施しました。
イスラ エルメ ディアは連日、海外報道からの転電に頼ってニュースを伝える状態が 続き ました。
ネタニヤフの失言
9月19日夜のテレビ番組に出演中のネタニヤフ元イスラエル首相 (右派政党リクード現党首)は
6日のシリア攻撃を認める発言をしました。
ネタニ ヤフ党首は最初からこの件について関与し、支持してきたと発言しました。
事前にオルメルト首相から攻撃を知らされていたと暴露した のです。
さらなる聞き手の「首相に作戦成功のお祝いの言葉をかけたのか」と の質問に、
「個人的にね」と答えました。この発言に政界、軍部から非難がおこりました。
その失言の火消しに躍起になる姿から、ネタニヤフが意図的に情報を 暴露した のではなく、
レポーターの思わぬ誘導尋問につい失言したのではと思われます。
(写真下)ダマスカス市の中心にある歴史のあるウマイヤド・モスク
ブッシュ政権がイスラエル空爆を容認
9月21のワシントン・ポストはイスラエルがシリアの核関連施設 を空爆した問題をめぐり、
ブッシュ政権が事前にイスラエルと情報を共有していたと報道しました。
施設はシリアが北朝鮮の支援を得 て核 開発を進めていたという情報が浮上しており、
北朝鮮による核拡散を 懸念する米政権が北朝鮮をけん制する目的で、
シリア空爆を容認した可能 性が大きいのです。
ただし6カ国協議への影響を懸念してか、20日の記 者会見で
ブッシュ大統領は一般的メッセージとして北朝鮮が核を拡散させないように期待するとの発言にとどまり、
具体的に空爆や北朝鮮のシリアへ の核 物質輸送などについては言及しませんでした。
北朝鮮のテロ支援国家指定解除にブレーキ?
北朝鮮とシリアは、共に米国からテロ支援国家に指定され、その協力 関係 が伝えられるなか、
北朝鮮のテロ支援国家解除への慎重論が米国内で 起こっていると伝えられています。
拉致問題を前進、解決しなければならない日本に とっても北朝鮮の指定解除は大きな問題であり、
単に遠い中東の地で起 こっている事ではありません。
北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議のメンバーとしても私達はもう少しこの問題を身近かに感じ、
より包括的に考えてもよいのではないでしょうか?
イスラエル空爆の本当の狙い
空爆が北朝鮮からの核関連物質であったという証拠はあがっていません。
むしろ攻撃目標は北朝鮮からのミサイル関連技術・部品で、
レバノン のイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラへの輸送武器であったという
見方が現在(2007年9月27日)のところ 有力です。
しかし、本当 のところ は解りません。
ただはっきりしているのは今回のシリア空爆はイスラエルがシリアの背後にいる
イランに対していつでも攻撃するという強力な警告、メッセージを発したことは間違いありません。
(写真下)ダマスカス市外とカシオン山
写真撮影:田中雅道国際部長(1991年撮影)
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