誰にでもわかるパレスチナ問題(その45)
”イスラエルロビーとパレスチナ和平 2”
NPO法人大本イスラエル・パレスチナ平和研究所
主任研究員 矢野裕巳
(その1)
(その2)
(その3)
(その4) (その5)
(その6)
(その7)
(その8)
(その9)
(その10)
(その11)
(その12)
(その13)
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(その60)
(その61)
(その62)
(その63)
(その64)
(その65)
1976年以来、30年以上の間、
イスラエルは米国からの最大対外援助受給国であります。
その援助額がどれほど大きいものであるか、具体的な数字を上げると、
年平均、30億ドル(3600億円)という数字で一般に表されます。
これは米国の直接的対外支援予算全体の6分の1に当たりますが、
実際は少なくても43億円(5160億円)を超えているとも言われています。
イスラエルに対する特別条項、特別免除
膨大な援助金を受け取っているイスラエルはそれを受けとる形態においても
特別かつ寛大な米国の計らいを受けています。
米国の対外支援を受けている国は通常援助金を4半期に分けて受け取ります。
しかし イスラエルは米国の対外援助法案の特別条項により、
毎年、会計年度の30日以内にその年度の割当額の全額を受け取る事が決められています。
あたかも年収を元旦に受け取るサラリーマンのようであり、
必要になるまでプールしている金額分から生じる利子を稼ぎだしています。
この一括払いの資金を調達するため毎年5000万ドル
(60億円)から6000万ドル(72億円)の負担が米国の納税者にかかっています。
また、イスラエルはその援助金の使途を説明する必要のない唯一の国と言われています。
国際法違反と非難されているヨルダン川西岸の入植地や、
分離壁の建設に米国の援助金が使われる事をチェックすることができない仕組みになっています。
米国から海外の慈善団体への個人的な寄付は所得控除されないのですが、
イスラエルへの個人の寄付の大半は
「米国・イスラエル所得条約特別条項」により控除される事になっています。
これらの優遇措置もイスラエルロビーの働きの成果だと思います。
外交面からの擁護
1972年から2006年までの間、
米国はイスラエル非難に対する42の国連安全保障理事会決議に拒否権を行使しています。
これは、この期間に米国が行使した拒否権の総数の半分以上に当たります。
また同期間に他の常任理事国4カ国が行使した拒否権のトータル数をも上回っています。
なによりも、米国が拒否権を使う事が解っているため表決されなかったイスラエル批判決議の数は、
実際に表決された数よりも数段多いはずです。
米国への経済制裁?
1973年の第4次中東戦争中、
「石油禁輸処置」「石油減産」という石油を武器にしたアラブの決断は、
当時のニクソン米大統領がイスラエルに22億ドル(2,600億円)の
緊急軍事援助をしたことに対する直接的な対抗策でした。
これによって米国経済もかなりの打撃を受けています。
アラブの石油禁輸、減産による?石油価格高騰で1974年だけで、
米国は485億ドル(5兆8000億円)の損害を受けたといわれています。
米国は過去においても現在においても、
敵対する多くの国を経済制裁で締めつけてきました。
しかし逆に超大国米国が経済的な制裁で締め上げられ、
少なくとも動揺させられた例はこの時のサウジアラビアを中心とする
アラブ諸国の石油戦略以外には考えられないでしょう。
米国と石油
米国の中東への関心を石油確保、
また石油企業の利益のためとの意見をよく聞きますが、
私はこれには大きな疑問を感じます。
常識的に考えて石油が真の目的ならば、
米国はアラブを支持し支援するはずです。
イスラエルを強烈に支持する事で米国が支払ってきた代償。
今も支払っているコストを考えてみれば、
石油が米国の中東への最大関心事とは考えられません。
イスラエルを強く後押しする特別な力、
いわゆるイスラエルロビーの存在が米国の親イスラエル政策の根底にあるからです。
長期的展望
前回も書きましたが、イスラエルを支持しイスラエルに利する方向に
米国の外交政策を導こうとするイスラエルロビーの活動は決して違法ではありません。
それでも長いスパンで考えて、世界の平和、中東の平和、
パレスチナの平和を考える点で、
どう見ても不自然なイスラエル支持を貫く米国外交はその弊害になっていると思います。
イスラエルロビーの強力な働きによって米国の中東問題での公平な仲介を阻害しているなら、
長期的に見て最も大きな負債を受けるのはイスラエル自身ではないかと筆者は考えます。
(1ドル=120円で換算)
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