誰にでもわかるパレスチナ問題(その58)
”イスラエル政府の行動に疑問を投げかけるユダヤ人”
”国際社会の主張”
NPO法人大本イスラエル・パレスチナ平和研究所
主任研究員 矢野裕巳
(その1)
(その2)
(その3)
(その4) (その5)
(その6)
(その7)
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(その9)
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(その63)
(その64)
(その65)
”入植地はベッドタウン?”
宗教的な信条により住み始めた、初期の入植者とは違って、現在では一般よりはるかに安く分譲される住居を求めて入植する人が多くなっています。入植地とテルアビブやエルサレムを結ぶ道路網が整備され、入植地は大都市の会社に勤める人のベットダウンになっている例も珍しくなくなっています。現在西岸には、およそ50万人のユダヤ人入植者が住んでいると言われています。
”イスラエルの主張 ”
国際法上、占領地への入植は違法です。イスラエルは西岸を占領地ではなく、「係争地」と考えています。つまり自国と西岸の境界(国境)を今後の交渉課題と解釈。イスラエル政府が承認していない入植地のみを違法と考えています。
イスラエル政府が公式に承認した入植地は西岸に121地区。イスラエル政府の公式承認を得ていない違法入植拠点は102地区あると言われています。
占領地でのイスラエルによる入植地拡大は現在でも進行中。これは、国際法そして国連安保決議に完全に違反。イスラエルがどう主張しても占領地の領土化です。
2009年6月4日、エジプトカイロ大学での演説(タイトルは New Beginning)でアメリカ・オバマ大統領は、次のように語りました。
「イスラエルはイスラエルの生存権が否定できないように、パレスチナ人の権利も否定できない事を認めるべきである。アメリカはイスラエルの西岸での継続的入植の正当性を認めるものではない。イスラエルの西岸への入植は過去の合意に違反し、和平達成の努力を損なうものである。イスラエルは入植を中止すべきである」、そして「あまりにも多くの涙が流されてきた。あまりにも多くの血が流されてきた。我々すべてはイスラエル人、パレスチナ人の母親たち恐れを抱くことなく子どもが成長することができる日の実現のために責任を負っている」。
”入植者数増加は「自然増」?”
パレスチナ和平最大の障害の1つであるユダヤ人入植地問題。私は最終的には、イスラエルが占領地からほぼ完全に撤退しなければ和平は実現しないと思います。しかし現段階では撤退どころか拡大を凍結することも実現していません。入植活動凍結を求める仲介役の米国に対して、イスラエルは入植者人口増加を「自然増」と主張し、凍結を拒否しています。通常「自然増」とは出生数が死亡数を上回ることですが、入植者人口増の多くは格安住宅を求めてイスラエル領内から移住するケースも多いと言われています。
”ジェフ・ハーパー博士”
ジェフ・ハーパー博士

2009年6月21日、東京杉並の立正佼成会大聖ホールで「イスラエル・パレスチナにおける和解の取り組み」をテーマにシンポジウムが開催されました。私もパネラーの1人として参加しました。
基調講演をしたイスラエルのジェフ・ハーパー博士は1997年、ICAHD(Israeli Committee against house demolition )「家屋破壊に反対するイスラエル委員会」を設立。イスラエルの占領に対して抵抗を続けるユダヤ人です。イスラエル政府によるパレスチナ人の家屋の破壊を、非暴力行動で阻止し、破壊された場合は再建を支援する活動を続けておられます。その活動に対してノーベル平和賞の推薦も受けています。
博士のようにイスラエルの行動に対して断固として抗議するユダヤ人が増えていると思います。歴代の大統領に比べて、よりイスラエルに強く譲歩を迫るオバマ大統領の言動も、その背景にイスラエル政府の行動に少しく疑問を感じるユダヤ系アメリカ人の存在が大きいのかも知れません。
(写真左)パネラーとして参加した筆者
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