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誰にでもわかるパレスチナ問題(その60) 

NPO法人大本イスラエル・パレスチナ平和研究所
主任研究員 矢野裕巳


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”ユダヤ教、キリスト教、イスラム教 1”



”改めてパレスチナ問題の基本から”

 パレスチナ紛争の根本原因が宗教間の対立ではないことは、本誌で紹介してきました。
かつて、自分の祖先が住んでいた土地に2000年を経て帰ってきた、ユダヤ人とその間にこの地に暮らしてきたアラブ人との間の土地争いが根本原因です。そして現在のパレスチナ紛争は何千年も続いてきた争いではありません。ユダヤ人、アラブ人がこの地域で平和に共存した歴史も存在します。英国が第一次世界大戦中に約束したこの土地に対する2つの権利証が争いの始まりです。英国に協力して、オスマントルコを倒せば、パレスチナの地にそれぞれの国やナショナルホームを建設することをゆるすとの権利証です。英国はこの権利書をユダヤ人とアラブ人に発行したのでした。




”ユダヤ教徒の国イスラエル とイスラム教徒が住むパレスチナ? ”

 先日、あるテレビ番組の特集でパレスチナ問題が取り上げられていました。その時、レポーターの1人は、「ユダヤ教を信じるイスラエルとイスラム教を信じるパレスチナのまさに骨肉の争いとなっています」とコメントしていました。よくある誤解ですが、イスラエル人=ユダヤ教徒ではないのです。イスラエル人のおよそ20%はパレスチナ人です。またパレスチナ人の少なくても10%はキリスト教徒です。パレスチナ系キリスト教徒はイスラム教が生まれる以前からこの土地に住んできた人々です。カトリックや東方教会等伝統教派の人々が大半ですが、プロテスタントを信じるパレスチナ人もいます。パレスチナ人=イスラム教徒ではないのです。


”3つの一神教 ”

 

 宗教が根本対立の一番の原因でないにしても、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地であるエルサレム紛争はパレスチナ問題解決には非常に重要だと思います。また宗教が関わる争い、あるいは宗教の名を使った紛争もこの地域に多く見られます。



”ユダヤ教→キリスト教→イスラム教 ”

 

 一柱の神のみを信仰する一神教は、ユダヤ教から始ります。一神教を最初に考えだしたのはユダヤ人です。神は唯一であり他に神はないという考えは、現在では普通のようにいわれますが、最初にその考えを生み出したのはユダヤ人です。それは「造物主」の確立です。造物主は宇宙間の万物を造った神であり、この世界は人間の命も人間自身もすべて神が生み出したという考えです。
 ユダヤ教の成立は紀元前538年ごろといわれています。イエスが生まれたのは紀元前4年ごろでキリスト教がローマの国教となったのは392年、イスラム教は610年ごろにムハマッドが神の啓示を受けて始ります。発生順にいえば、まずユダヤ教が生まれ、そこからキリスト教が、そしてさらにイスラム教が生まれました。ユダヤ教、キリスト教ではヤハウェ(エホバ)、イスラムではアッラーと呼び名は違っても3つの宗教の源は1つであり、それぞれが唯一絶対神を崇拝する一神教です。
次回からは3つの宗教の共通点を土台にし、それぞれの特徴を歴史を振り返りながら詳しく、かつ解りやすく述べたいと思います。神道や仏教等の宗教とも比較しながら学びましょう。





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(写真左から)シナゴーグ(ユダヤ教礼拝堂)、ミサがおこなわれる大聖堂(キリスト教)、モスク(イスラム教礼拝堂)





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