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ビル・ロバーツの大本探求(その5)

『サムシング・グレート(偉大なる何ものか)』

遺伝子学の先駆者で大本の友人、生命の不思議を解き明かす鍵を提唱 2007.8.12


/取材:ビル・ロバーツ 日本語訳:木村且哉 



photo  村上和雄教授は数々の賞を受賞したすぐれた科学者で、大本の友人でもあります。 彼が生化学分野の研究に生涯を捧げてきたのは確かなことですが、全体的に曖昧な表現を用いることを好んでいます。
 彼の推論、「すべての生命は『サムシング・グレート』の創造物に違いない」ということについて考えてみましょう。 『サムシング・グレート』とは村上教授が名付けた概念で、好んで曖昧な表現のままにしています。

 稲の遺伝情報を解読するための日本の科学者チームへの参加なども含め、 25年以上にわたる遺伝子の研究を基に、村上教授は、この世界にはある偉大なる働きがあると信じているのです。
 この世界の種というものはチャールス・ダーウインの自然淘汰説にそって発展してきたかもしれませが、 チャールス・ダーウインは遺伝子については知らなかったと教授は指摘しています。 村上氏は長年の研究から、遺伝子コードは偶然に存在しているものとは思っていません。
 「『サムシング・グレート』に対する私の定義はシンプルで、それが何であれ、すべての生命の親なのです。 しかし私たちはそれが何かは分かっていません。」と説明してくれました。

 教授が昨年、アメリカ合衆国を講演旅行していた時によく尋ねられたのが、 「神とサムシング・グレートとの違いは?」だったそうです。 彼の返事はこうでした、「サムシング・グレートとは神かもしれません、しかしそうではないかもしれません。 我々にはわからないのです。ですが、分からないからこそサムシング・グレートなのです。」
 質問者は教授の答えにどう返事をすればよいのか分からなかったそうです。 その講演旅行は、自著『生命(いのち)の暗号:あなたの遺伝子が目覚めるとき』の出版プロモーションも 兼ねていました。この本は日本で10年以上前に出版され、再版を重ねて現在までに20万部以上を売っている本の英語版です。 

 村上教授はこの本が成功したのは、日本人の中で増加しているある種の感覚を指摘したからだと考えています。 それは、巨大に発展し続ける経済や技術があるにもかかわらず、日本人の生活から何かが失われたのではないかという感覚です。 多くのアメリカ人のように、日本人は精神的なものを渇望し、人生のより深い意味を探し求めているのです。 科学を志すものにとって、そしておそらく多くの我々にとっても、 サムシング・グレートとは人生の意義をより深めるための鍵であるかもしれません。

 村上氏は「インテリジェントデザイン」説の信奉者であると、おそらくアメリカでは見なされているでしょう。 「インテリジェントデザイン」説とは、我々人類も含めた宇宙は、 自然淘汰のような進化の過程によって発展してきただけではなく、宇宙は知性ある何ものかに起源があるとする説です。

 アメリカの「インテリジェントデザイン」説の擁護者のほとんどは、宇宙のデザイナーは神であると信じています。 しかし村上教授はそこまでは確信していません。 ですから、サムシング・グレートをサムシング・グレート以外の何ものかであると定義することに、気乗りがしないのです。 教授は人々に、「サムシング・グレート」とは「何か素晴らしいもの」であるということを理解して欲しいと願っているのです。
このことは、彼の近著『世界は1つの生命(いのち)からはじまった:サムシング・グレ-トからの贈り物』のテーマでもあります。 これは日本で最もよく知られている画家の葉 祥明(よう しょうめい)氏との合作の絵本です。 2004年に刊行され、日本語、英語、エスペラント語(120年前に発明された国際人工語で大本が推進している)の 3カ国語で書かれています。

 この本ではきれいなイラストを使い、サムシング・グレートについての村上教授の考えを詳しく説明しています。 そして、サムシング・グレートが何ものであれサムシング・グレートへ感謝し、 ありがたく感じることで幸せになれると説明しています。

 大本が2002年11月に「世界宗教者の祈りとフォーラム」を京都で開催した際、 私は初めて村上教授の講演を聴き、以来長い間、彼にインタヴューをしたいと思っていました。
 「すべての生命の遺伝子情報は似かよった形体を持っていて、 それはサムシング・グレートによってのみ生み出されることができたということを今の私たちは知っているのです。 すべての生命、人類、動物、植物、個々の細胞の一つ一つは本質的には同じであり、 したがってすべてが尊敬に値するものなのです。」と彼は言いました。

 生命への尊敬について村上氏が私に語っている時、彼は地球温暖化や資源の枯渇など世界中の環境問題について、 すべての人々にメッセージを伝えようとしていると私には思えました。
 自然と調和しながら生きていくということは、大本(「大本」の意味は「偉大なる源」)の教えの特性の一つです。 そして神道ではより一般的に信じられていることです。 この考え方は西洋では、一神教よりもネイティヴ・アメリカンの信仰により合致する考え方です。 それはまた天理教の教えの中心でもあります。天理教は神道に属し、村上教授はこの天理教の信徒です。

 天理教は1838年に創立され、日本で初めて「新宗教」と呼ばれました。 「新宗教」とは明治時代(1867-1912)前後に成立した宗教を言います。 大本と同じように、天理教は女性によって創設され、そのルートは古代神道の信仰にあります。  天理教は大本よりもかなり大きく、新宗教の中では最も大きなものの一つであり、海外にも多数の信徒がいます。

 村上教授は天理教の家庭で育ち、父は天理教の布教師でした。 天理教が運営する高校で教育を受け、京都大学に入学しました。大学では農業生化学を専攻して、博士号を取得しました。 その後、米国ポートランドにあるオレゴン医科大学に博士号取得後の特別奨学金を得て在籍し、 それから数年はアメリカ・バンダービルト大学医学部助教授として酵素の研究をしました。 1963年から1975年にかけて合計9年間アメリカ合衆国で過ごしたのです。

 たまたまだったのですが2002年に村上教授の講話を聴いてから、 2007年8月の今回、ついに、教授に出会って話す機会を得るまでに5年近くの歳月が経ちました。 大本の聖地がある綾部の、とあるレストランで、私たちは夕食を共にしながら英語で話をしました。 彼は今回、宗教者懇話会でサムシング・グレートについての講演をするために綾部にいたのです。 村上教授は一年のうちの120日もの日々を講演にあてています。 そしてしばしば、科学と宗教の融合について宗教指導者たちと話をするように頼まれます。

 大本が初めて村上教授を講演に招いたのは、彼が『生命(いのち)の暗号』を出版した直後の10年前のことです。 村上教授は科学雑誌で数多くの論文を書いていますし、より一般的な本も多数執筆しています。 1990年には国際マックスプランク研究賞を、1996年には日本学士院賞を受賞しています。 現在71才で、筑波大学名誉教授として今なお現役として活躍しています。 講義に加えて、現在、国際科学振興財団バイオ研究所所長としてDNA解明の世界的権威として活躍中です。

 現在、教授は、人間の遺伝子と笑いの関係を立証しようと試みています。 彼はインドで開催された科学と仏教の関係を研究する会議で、 この試みについてチベットのダライ・ラマ14世テンジン・ギャツォ師から激賞されました。

 村上氏はダライ・ラマ師に4回出会っています。そのうちの1回が、教授が開会式で議長を務めた『広島平和サミット』です。 『広島平和サミット』は2006年11月に開催され、 3人のノーベル平和賞受賞者、ダライ・ラマ師、南アフリカのデズモンド・ツツ大主教、 北アイルランドの平和活動家ベティ・ウイリアムズ女史が講演をしました。

 村上教授はジョーク好きですが、すでに彼は、より笑うことで遺伝子を良い方向にコントロールすることができ、 血圧も下げることができるという研究を終え、現在は、何故そうなるのかを研究しています。 最後に彼は私に言いました、「私は人の心と遺伝子の関係に最も興味を抱いています。 また、祈りと遺伝子の関係を研究したいとも思っています。ですが、その研究はとても難しいものでしょうね。」と。

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71才の村上教授は、今現在でも遺伝子研究に情熱を燃やしている。
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サムシング・グレートをサムシング・グレート以外の何ものかであると定義することはできない
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2006年11月開催・「広島平和サミット」の議長を務める村上教授
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Photo 4
「広島平和サミット」でダライ・ラマ師に挨拶をする村上教授
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