人類愛善会
 Universal love and brotherhood association

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シリア・ヨルダン訪問記 3   2008.2.1

   矢野裕巳 

”あなた方の神も私たちの神も同じ”


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 ヨルダンのイスラム指導者からも賛同の声

 昨年2007年11月17日、 私は京都龍谷大学主催のシンポジウム「21世紀のアジアと日本」を聴講しました。
 その基調報告「中東の現状と日本」のなかで、 酒井啓子東京外国語大学大学院教授は中東諸国の欧米に対する不信感、 欧米諸国の中東諸国に対する偏った理解をその紛争の大きな要因として指摘されていました。
 翻って日本の中東に対する理解も かつての砂漠とラクダそして石油というステレオタイプのイメージから 抜き出ていないのではないでしょうか?
 また中東における日本への理解にも最近その見直しが語られるようになっているそうです。 酒井教授は2005年12月1日発行の英文Al Aharam weekly を資料として示されました。

 原文でそのまま紹介します。
 We have to admit that ordinary Arabs and Muslims are facing a serious problem in understanding Japan correctly, mainly because more than 90 percent of the news stories, analyses and basic information depend on Western and American sources. In many Arab and Islamic countries and in Europe as well, 90 per cent of so-called Japanese studies examine the tea ceremony, Noh drama, the ancient tale of Genji, and 15th and 16th century Japanese literature. There is little known about contemporary Japan, not to mention the economic progress that has made it the second largest economy in the world. Books in Arabic about contemporary Japan are few and far between. Not many people know of Shumei Okawa ( 1886~1927) who translated the Quran into Japanese, had a kind sympathy for Islam and Arab world, and understood Arab nationalism.

 普通のアラブ人、イスラム教徒が正しく日本を理解する事はきわめて困難な事です。 ほぼ90パーセントの情報は欧米諸国に依存しているのです。 多くのアラブ、イスラムの国々、 そしてヨーロッパ諸国においてもいわゆる日本研究の90パーセントは茶道、能楽、源氏物語、 また15~16世紀の日本文学の研究なのです。 現代の日本についてはほとんど知られていません。 ましてや世界第二の経済大国への経済成長についての研究もあまり知られていません。 アラビア語で書かれた現代日本についての本はほとんどありません。 また日本でもあまり知られていない事ですが、 大川周明(1886~1927)は日本人で初めてコーランを日本語に翻訳した人物で、 イスラムやアラブ世界に共感をもち、アラブナショナリズムにも理解を示してくれた人物なのです。(筆者訳)

 2007年9月12日、 NPO法人(特定非営利活動法人)大本イスラエル・パレスチナ平和研究所は出口王仁三郎が提唱した 「人類愛善・万教同根」の理念に基づき、中東地域の和平実現、 ひいては世界の恒久平和実現に寄与する事を目的に設立されました。 2000年2月に締結された、綾部・エルサレム友好都市宣言や 2003年の綾部プロジェクト等、法人取得前にもこの地域への活動には微力ながら愛善会としてコミットしてきました。 しかし、前述の酒井教授の資料にもあるようにアラブ人の日本に対する情報はほとんどが欧米経由。 同じことが日本のアラブ、イスラム理解にも当てはまると思います。 我々の中東地域のニュースの大半は欧米から特に米国経由なのです。
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 本誌にも何度か紹介されましたが、サミール・ナウリ駐日ヨルダン大使が2006年開祖大祭で綾部へ、 2007年教主生誕祭には亀岡に公式参拝されました。 2007年8月には教主様を東京の公邸の昼食会に招かれ親しく懇談されました。

 NPO設立を前にその後の活動の具体的道筋を考えていた我々に大使は是非、 ヨルダンを訪問し、寛容の精神をもった新しいイスラムの指導者との連帯を模索する事を示唆されました。 ヨルダンはアラブの国々の中で、エジプトと共にイスラエルとも国交を持つ国です。 人口600万の70パーセント近くがパレスチナ人である親米国家です。 親米国といってももちろん国民感情は複雑なものがある事は事実ですが、 少なくとも米国、イスラエルとも外交チャンネルをもっている国です。

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 2007年12月、鹿子木旦夫NPO法人理事長と私はヨルダンを訪れました。 ヨルダンの首都アンマンでナウリ大使を通じて新しい出会いがありました。 ヨルダンのイスラム世界で最も重要な礼拝指導者である アハマド・モハマッド・ハラエル最高司法官と会談しました。

 会談の冒頭、鹿子木氏は大本の人類愛善精神、万教同根、について説明。 また英文「万教同根」とビル・ロバーツ著「素顔の大本」を贈呈しました。 鹿子木氏はさらに、シナイ山でのかつての合同礼拝についても説明を加えました。 鹿子木氏の説明をしっかりと聞かれた司法官は 「私達の考えとあなた達の考えは共有出来ます」と、まず答えられました。「神様はたとえその呼び名が違っても1柱なのです。 あなた方の神も私達の神も同じでなければならないのです」とも話されました。

 私は、綾部プロジェクトに始まる活動について説明しました。 イスラエルとパレスチナの紛争犠牲者家族を日本に招き交流する行事について言及した時、 ヨルダンのパレスチナ難民の子供たちも イスラエルの子供達とそのような機会があればいいですねとやさしく言われました。 何よりも日本の子供たちとの交流ができれば、お互いの理解につながりますと締めくくられました。

 我々のアラブへの理解が「月の砂漠」を超え、 アラブの理解が「富士山、芸者」を超え、 また米国経由以外のアラブと日本との直接の情報交換が増えた時、 真の日本とアラブ、イスラムとの理解につながるのではないでしょうか?
 その道筋がぼんやりと見えかけたヨルダンへの出向でした。



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