誰パレ60 of NPOイスパレ

NPO法人大本イスラエル・パレスチナ平和研究所
Oomoto Peace Institute for Israel and Palestine
「イスラエル・パレスチナ紛争」を中心に世界の紛争を学び平和に貢献する具体的活動の実践を目指します!

誰にでもわかるパレスチナ問題(その60)

常務理事・主任研究員 矢野裕巳




 新聞、ラジオ、テレビ等で最近毎日のように耳にし、目にするパレスチナ問題、現代の中東問題も、根本原因はパレスチナ問題にあるという報道を聞かれた人もあると思います。
それでは、パレスチナ紛争とは何なのか?また、いったい何が問題なのかを数回に分けて考えてみます。
 まずは、おおまかに古代から現代までの歴史を考えてみましょう。


ユダヤ教、キリスト教、イスラム教 1”

◆”改めてパレスチナ問題の基本から”


 パレスチナ紛争の根本原因が宗教間の対立ではないことは、本誌で紹介してきました。 かつて、自分の祖先が住んでいた土地に2000年を経て帰ってきた、ユダヤ人とその間にこの地に暮らしてきたアラブ人との間の土地争いが根本原因です。
 そして現在のパレスチナ紛争は何千年も続いてきた争いではありません。ユダヤ人、アラブ人がこの地域で平和に共存した歴史も存在します。英国が第一次世界大 戦中に約束したこの土地に対する2つの権利証が争いの始まりです。英国に協力して、オスマントルコを倒せば、パレスチナの地にそれぞれの国やナショナル ホームを建設することを許すとの権利証です。英国はこの権利書をユダヤ人とアラブ人に発行したのでした。


◆”ユダヤ教徒の国イスラエル とイスラム教徒が住むパレスチナ? ”


 先日、あるテレビ番組の特集でパレスチナ問題が取り上げられていました。その時、レポーターの1人は、「ユダヤ教を信じるイスラエルとイスラム教を信じるパレスチナのまさに骨肉の争いとなっています」とコメントしていました。

 よくある誤解ですが、イスラエル人=ユダヤ教徒ではないのです。イスラエル人のおよそ20%はパレスチナ人です。またパレスチナ人の少なくても10%は キリスト教徒です。パレスチナ系キリスト教徒はイスラム教が生まれる以前からこの土地に住んできた人々です。カトリックや東方教会等伝統教派の人々が大半 ですが、プロテスタントを信じるパレスチナ人もいます。パレスチナ人=イスラム教徒ではないのです。


◆”3つの一神教 ”


 宗教が根本対立の一番の原因でないにしても、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地であるエルサレム紛争はパレスチナ問題解決には非常に重要だと思います。また宗教が関わる争い、あるいは宗教の名を使った紛争もこの地域に多く見られます。


◆”ユダヤ教→キリスト教→イスラム教 ”


  一柱の神のみを信仰する一神教は、ユダヤ教から始ります。一神教を最初に考えだしたのはユダヤ人です。神は唯一であり他に神はないという考えは、現在では 普通のようにいわれますが、最初にその考えを生み出したのはユダヤ人です。それは「造物主」の確立です。造物主は宇宙間の万物を造った神であり、この世界 は人間の命も人間自身もすべて神が生み出したという考えです。

 ユダヤ教の成立は紀元前538年ごろといわれています。イエスが生まれたのは紀元前4年ごろでキリスト教がローマの国教となったのは392年、イスラム 教は610年ごろにムハマッドが神の啓示を受けて始ります。発生順にいえば、まずユダヤ教が生まれ、そこからキリスト教が、そしてさらにイスラム教が生まれました。ユダヤ教、キリスト教ではヤハウェ(エホバ)、イスラムではアッラーと呼び名は違っても3つの宗教の源は1つであり、それぞれが唯一絶対神を崇拝する一神教です。

 次回からは3つの宗教の共通点を土台にし、それぞれの特徴を歴史を振り返りながら詳しく、かつ解りやすく述べたいと思います。神道や仏教等の宗教とも比較しながら学びましょう。

dare60-1-300.jpgシナゴーグ(ユダヤ教礼拝堂)dare60-2-300.jpgミサがおこなわれる大聖堂(キリスト教)dare60-3-300.jpgモスク(イスラム教礼拝堂)



誰にでも分かるパレスチナ問題

目次

1    パレスチナ戦争、何が問題なのか?」
2    パレスチナ紛争はここ100年の問題」
3   「ユダヤ人とは?」
4   「2枚舌? 3枚舌」
5    「国連分割案(1947年)
6    「イスラエルの建国とパレスチナ難民」
7    「アラブ民族主義の台頭、そして英仏植民地主義の終焉へ
8      PLO(パレスチナ解放機構)設立と6日戦争
9    「第4次中東戦争」
10  「キャプデービット合意」
11  「インティファーダー(民衆蜂起)」
12  「湾岸戦争とパレスチナリンゲージ」
13  「オスロ合意からラビン首相暗殺まで」
14  「イスラエル極右勢力とパレスチナ過激派」
15  「ユダヤ人が2人いれば政党が3つできる」
16  「綾部市、エルサレム市友好都市宣言」/「エルサレムで『平和祈願祭』
17  「指導者の決断」
18   神は死んだ。パレスチナ問題の複雑さに悩んで!
19  「9.11」
20  「綾部市長の英断」
21  「走りながら勉強を!走りながら準備を!」
22  「絶望はおろか者の結論」
23  「分離壁そしてアラファトの死」
24  「次の世代には・・・/川をこえる橋
25  「大本、ユダヤ教の婚礼」
26  「ガザ撤退」
27  「想定外は想定内」
28  「圧力と譲歩」
29   イラナ・ジンガー博士からのメール
30   亀岡プロジェクト1
31   亀岡プロジェクト2
32   亀岡プロジェクト3
33   亀岡プロジェクト4
34   亀岡プロジェクト5
35   ジュベル・ムーサ(モーザ山)/パレスチナ人から見た中東和平への展望
36   大本大祭、大本歌祭へ
37   米国の役割、日本のアプローチ
38   亀岡プロジェクト 最後の締めくくり
39   建設的あいまいさ
40   よりよい世界をめざして
41   改めてパレスチナ問題の基礎から
42   亀岡平和祈念式典へのメッセージ
43   イスラエル軍によるシリア空爆
44   イスラエルロビーとパレスチナ和平1
45   イスラエルロビーとパレスチナ和平2
46   イスラエルロビーとパレスチナ和平3
47   ヨルダンハシミテ王国1
48   ヨルダンハシミテ王国2
49   ヨルダンハシミテ王国3
50   シリア1
51   シリア2
52   東京大本歌祭
53   マドリード世界対話会議/サミールナウリ ヨルダン大使講演
54   ハイム ホシェイン公使
55   イスラエルトパレスチナ?
56   敵の敵は味方?
57   イスラエル右派政権誕生・・・・和平へのプライオリティー
58   イスラエル政府の行動に疑問を投げかけるユダヤ人
59   ユダヤ人であることとイスラエルを否定することは矛盾しない
60   ユダヤ教、キリスト教、イスラム教1
61   ユダヤ人はなぜ迫害去れてきたのか?
62   ユダヤ人迫害の歴史を通して考える
63   預言者を通してユダヤ教、キリスト教、イスラム教を考える
64   安息日を通して通してユダヤ教、キリスト教、イスラム教を考える
65   聖地を通してユダヤ教、キリスト教、イスラム教を考える
66   一神教と多神教

誰にでも分かるチベット問題

誰にでも分かる世界の紛争

サダト大統領暗殺30年のよせて

目次

その1
その2
その3
その4

Bill Roberts

講演録