誰にでもわかるパレスチナ問題(その53)
常務理事・主任研究員 矢野裕巳
新聞、ラジオ、テレビ等で最近毎日のように耳にし、目にするパレスチナ問題、現代の中東問題も、根本原因はパレスチナ問題にあるという報道を聞かれた人もあると思います。
それでは、パレスチナ紛争とは何なのか?また、いったい何が問題なのかを数回に分けて考えてみます。
まずは、おおまかに古代から現代までの歴史を考えてみましょう。
”マドリード世界対話会議”
◆”マドリード世界対話会議”
サウジアラビア国王が提案したムスリム世界連盟主催の国際宗教会議が2008年7月16日から18日までスペインの首都マドリードで開催されました。駐日サウジアラビア大使館を通じて主催側から参加への打診があり、大本から島本邦彦本部長と私が参加する事になりました。ムスリム世界連盟は1962年に設立された国際組織で、その本部はサウジアラビアのメッカにあり、世界に40以上の支部をもって活動しています。
サウジアラビアのアブドラー国王とスペインのファン・カルロス国王による開会挨拶によって会議がスタートしました。
アブドラー国王は開会の演説で「宗教間の対話が様々な世界、国際社会の問題解決への重要な役割を果たすであろう。今日宗教への批判が多く聞かれるが宗教自体に問題があるのではなく、宗教の教えを間違って解釈している事が重要である。宗教に対する批判は宗教間における歴史的葛藤に起因しているのではなく、テロリズムそのものに対する批判であるべきだ」と述べられました。
国王のこの開会時の挨拶にそって会議が進められ、最終日18日に出された『マドリード声明』には「対話こそが人類の理解、協力と交流における最も重要な道筋であり、文化の多様性は人類の進歩と繁栄の原動力の1つである。テロリズムは対話と共存の主な妨げの1つであり、テロは今や地球のどこでも発生している全世界的なもので、国際社会は共同でこれに対応し、世界の安定実現に取り組む必要がある」と結んでいる。
ムスリム連盟のアルツルキ事務総長も「今回の会議によって違った信仰を持つ人々も互いに尊重する事が可能である事を示し、対話が調和と平和を促進する最も適したルートであることを証明しました」と述べました。
キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、仏教、神道に加え、多くの様々な宗教指導者や宗教学者等およそ200名が参加したマドリード会議。ムスリム諸国の中でも保守的な國として知られ、またムスリム世界で最も影響力をもつサウジアラビアのアブドラー国王の提唱によって開かれた事に大きな意味があったと思います。
会議開催にあたり、アレデリーコ・レンバルディールバチカン公式報道官は 「世界対話会議は正しい方向への重要な一歩であり、バチカンにとっても重要である」とコメントしています。

マドリード世界対話会議
”サミールナウリヨルダン駐日大使講演”
2006年7月26日午後2時30分からナウリ大使の講演会(大本イスラエル・パレスチナ平和研究所主催)がホテル綾部を会場に開催されました。講演の冒頭、大使は中東紛争、その中心となるパレスチナ問題について解りやすく解説されました。
とくにヨルダンという國が人口600万人弱で、その半数以上がパレスチナ人であるという環境において、國の存立にはどうしても、イスラエル・パレスチナ問題を解決しなければならないと力説されました。
ヨルダンは日本と同じように天然資源には恵まれていませんが、これも日本同様、人的資源に恵まれていますと語られました。勤勉で向上心が強い国民性であるとの事でした。通訳を入れて1時間を超えるお話でしたが、特に日本が進める、イスラエルとヨルダンが共同でパレスチナの経済発展に協力するプランについて多くの時間を割いて話されました。 政治的解決が重要な事はもちろんですが、経済的な向上がなければ、紛争は解決できないとの認識にたってお話されました。
40年近い外交官生活を終えヨルダンに帰国する1ヶ月前に、大使として、最後の講演を綾部でさせて頂いた事は一生の思い出です、と講演後、通訳を務めた私に静かに語られました。




参加者との交流
